First Ukrainian International Bank
ウクライナの大手銀行が、コンテンツのデジタル化によってサービスを強化し、効率性を向上させ、将来の拡張性を確保しています。
課題
未整理の大量の紙の書類は、煩雑で時代遅れな業務体制の証拠
First Ukrainian International Bank(FUIB)はウクライナの最大手銀行の 1 つで、最高水準の顧客サービス、カスタマイズされた銀行業務、イノベーションを個人と企業の両方に提供することに力を入れています。
この銀行は 1991 年に設立され、首都キエフに本社を置いています。7,000 人以上の従業員を擁し、170 万人の個人顧客と11万社の法人顧客にサービスを提供しています。ウクライナが試練にさらされている現在にあっても、FUIB は顧客のために安定した信頼できる銀行であり続けようと努めており、顧客の利便性と安全のために常にプロセスの改善を続けています。
これだけでもすでに重大な課題ですが、同銀行は並行して業務プロセスのモダナイズと、ビジネスのペーパーレスアプローチへの移行も検討していました。
20 年以上の歴史を持つ大規模なレガシー金融機関であるこの銀行では、会社の業務プロセスの中核を占める膨大な数の紙の書類が作られてきました。こうした紙の書類の内容は実にさまざまなものでした。社内の多数のチャネルで作成され、さまざまな場所に配置され、その形式もばらばらでした。
この状況はユーザーの大きな不満を生んでおり、またデジタルトランスフォーメーションという同銀行の野心的な計画を阻んでいました。従業員と顧客、双方のプロセスを簡素化してモダナイズするために、FUIB は会社全体でペーパーレス・アプローチに移行する必要がありました。つまり電子的な書類を保存できるシステムを実装して、ユーザーが紙の文書を記録・追跡し、統合リポジトリに転送できる体制が必要だったのです。
戦争中の国を拠点としていることから、ペーパーレス化には、物理的な書類が紛失したり破棄されたりするリスクを抑えるメリットもありました。それはまた、自国が困難に直面している時期であっても、銀行が誇る優れたカスタマーエクスペリエンスを維持できるということでもありました。
FUIB のテクノロジー責任者である Illia Morozov 氏はこう語っています「このような書類の保管・管理システムは、当銀行には存在していませんでした。そのため、担当チームは大量の電子文書を体系的に整理して効率的に管理し、各種の業務プロセスで再利用し、権限のある担当者に安全にアクセスを許可できるソリューションを探していました」。
包括的で一元化されたシステムがない場合、業務の遅延、リスクの増大、時間の損失につながる
この銀行には顧客関係の文書を管理するための適切な一元化されたシステムはありませんでした。代わりに複数の異なるシステムが存在し、それぞれ独自の統合プロトコルを有していました。DMS(ドキュメントマネジメントシステム)が存在していないことで、急速に発展している銀行と従業員の業務に影響が出ていることは明らかでした。
「ペーパーレス化を目指す中で私たちが直面した最も重要な課題の1つは、大量の文書を紙と電子の両方の形式で効果的に整理し、管理することでした」と Morozov 氏は述べています。
過去の体制では、顧客と規制当局の両方からの要求を処理する上で遅れが生じていました。同時に、手作業での大量の文書処理に多大な時間が費やされていたため、業務上のリスクが増大し、顧客への迅速かつ効率的なサービス提供にも影響が出ていました。さらに支出の増大にもつながっていました。
もうひとつの課題は、さまざまな異なるシステム、プラットフォーム、文書保管のアプローチがあるために、同じ顧客文書を別のビジネスプロセスや銀行チャネルで検索・再利用する手順が煩雑になっていたことです。
文書の取り扱いと保管のために、それぞれの業務単位で独自のローカルソリューションを使用していたことから、異なる業務単位の間を横断して文書を再利用することが難しく、顧客からの要求の処理を効率的に進めることができていませんでした。
7,000
従業員数
180万
顧客
3000万
文書
解決策
文書の一元的保管・管理のためのオープンソースのスケーラビリティをハイランドが実現
FUIB には、文書ストレージを一元化し、権限のあるユーザーに共通の統合プロトコルで安全にアクセス許可を与え、さらに将来の成長に備えた拡張性を実現できるソリューションが必要でした。
最適なソリューションプロバイダーを選ぶ過程で、銀行の専門家チームは選択肢の検討を進めていました。DMS(ドキュメントマネジメントシステム)の要件には、絶対に欠かすことのできない機能がいくつか含まれていました。
今後のデジタルトランスフォーメーションの取り組みを見据え、そのツールには野心的な将来の事業成長計画に合わせて拡張できる機能が必要でした。イノベーションを重視し、またそれを誇りにしている企業として、新しいアプローチは既存のエコシステムにシームレスに適合し、主なサービスの中断を避けるため迅速に実装できなければなりません。
さらにプラットフォームのテクノロジースタックは銀行のスタックに合わせ、監査機能を搭載し、主要な文書の取り扱いのためにすぐに使えるAPIを備えている必要がありました。その他の重要な条件としては、カスタマイズ機能、そして文書のライフサイクル全体にわたってコンテンツ管理用の追加プラットフォームモジュールを作成する機能がありました。
銀行全体のニーズに対応してこれらの要件を満たすため、FUIB はハイランドのオープンソースソリューションであるNuxeoプラットフォームを選択しました。この選定にはいくつかの理由があります。
「Nuxeo のアドバンテージはオープンソースのソリューションにあります。クロスプラットフォームであり、銀行全体のニーズに対応できる拡張性を備えています。また、ポジティブな評判と迅速な実装スケジュールも注目に値するものでした。利用可能なリソースを使用して設定できるという点も含め、Nuxeo はすべての評価基準を満たすものでした」と Morozov 氏は付け加えます。
整理と管理が必要な文書が非常に多かったため、Hyland の Nuxeo Studio ソリューションは可能な限り早く導入する必要がありました。このツールを導入したことで、Nuxeo の標準 API 機能をカスタマイズできる自動化サービスにより、さまざまな文書ストレージのスキーマを迅速に構成できるようになりました。
文書管理システムのプラットフォームとして Nuxeo を導入することで、当行は主な銀行業務のデジタル化を進め、改善することができました。その結果、お客様のためのサービスの質が向上し、従業員間の連絡も効率化されました。
— First Ukrainian International Bank テクノロジー責任者、Illia Morozov
実装
FUIB チームはまず、UCB と呼ばれるリテール顧客向けのアーカイブから試験的に移行を始めました。その後、銀行の支店のカスタマーサービスソフトウェアでも移行を進め、続いてモバイルアプリケーションを通じて拡張していきました。現在、Nuxeo には 3,000 万件の文書が保管されており、月間 50 万件の文書が社内で新規に作成されています。これにより、手動データ入力とアップロードに費やす時間と労力が削減され、精度が向上しました。
文書をゼロから作成する必要があった以前のシステムとは異なり、ハイランドのソリューションを導入することで、業務の担当者は文書を自動生成するサービスを開発できるようになりました。これにより、チームはコンテンツの重要なテンプレートをプラットフォーム上に直接保存できるようになり、標準的な文書を作成する時間を節約することができます。また現場のスタッフも、物理的な文書からデジタル資産に焦点を移すプロセスに簡単に順応することができていました。
かつては、この銀行のさまざまな文書や資産はサイロ化されており、保管場所やファイル形式も統一されていませんでした。電子アーカイブ「MoSt」(More than Storage)により、顧客文書のアクセスや送受信が異なる部門間を横断して効率的にできるようになりました。
銀行の従業員は、電子文書、画像、その他のデジタル資産など、これまでよりもはるかに多様なコンテンツを保存して、一元的に管理できるようになりました。つまり、従業員はハイランドのツールのすべての機能を活用することができ、顧客は可能な限り最高のサービスを受けられるようになったのです。
文書やデジタル資産の保管体制が改善されただけでなく、新たにカスタマイズ可能なメタデータフィールドを作成する機能を取り入れたことで、チームのコンテンツ検索・取得能力も大幅に向上しました。これは時間を節約するだけでなく、テクノロジーを重視するブランドとしての銀行のイメージもサポートしています。
システム導入の段階とパートナーシップ全体において、ハイランドからは課題に対する効果的なソリューションと質の高いサポートを受けました。特に戦時中ですから、同社の忠実さと柔軟な姿勢には非常に感謝しています。両社のやりとりにおいて非常に重要なこの柔軟性を維持しつつ、今後もコラボレーションを継続していきたいと考えています。
— First Ukrainian International Bank テクノロジー責任者、Illia Morozov
優位性
ドキュメント紛失のリスクを軽減
ウクライナが戦争状態にある現在、銀行業務のペーパーレス化には大きなメリットがあります。紙の文書をデジタル化することで、この困難な時期に文書を紛失するリスクを大幅に減らしつつ、FUIB の優れたカスタマーエクスペリエンスも維持することができます。
時間とコストの節約
物理的な書類保管庫とその検索は、時代遅れであるだけでなく費用もかさみます。ハイランドが導入したデジタル化のプロセスにより、同銀行は経費を大幅に減らすだけでなく、手作業による書類処理や整理に費やす時間も劇的に短縮することができました。
将来を見据えたウクライナの大手銀行
急速に発展している銀行として、デジタルトランスフォーメーションに乗り出す最初の一歩は紙の書類を廃止することでした。ペーパーレスプロセスへの移行と電子コンテンツへの切り替えによって、同銀行のイノベーションへの注力も際立ちます。